2005年08月01日

やさしくキスをして〜Ae Fond Kiss

最近、スコットランドの映画を見る機会が多い。この作品の舞台もスコットランドのグラスゴー。
愛を選ぶが、自分達の属する社会の信念に従うかそこで悩む二人のラブストーリーである。
作品の中身に触れる前に簡単にイギリスの状況を。この事がこの映画のとても重要な事項になり、中味に多いに影響していく事になる為。
スコットランドの一番大きい都市はこの映画の舞台となるグラスゴー。しかし、首都はエジンバラである。この二つの都市は非常に近く、列車で約一時間の距離だ。しかし、この二つの都市の表情はまるっきり違う。どの様に違うのかと言うと、エジンバラは首都、歴史的な街、学問の街、洗練された街。この印象はスコットランドの人々さえ感じている事である。一方の、グラスゴーはスコットランド北東部の第三の重要都市アバディーンと同じ様に、産業工業都市なのである。
基本的にグラスゴーやアバディーンの様な産業工業都市は別にスコットランドだけでなく、イングランドのリバプール、バーミンガム、ウェールズのカーディフのように色々あるが、共通して言えるのは、その産業工業を発展させる為にかつてイギリスが宗主国であった植民地などからの移民による労働力に頼る力が非常に大きい。そして、彼らはイギリスに移民してきてもアメリカとは違い、植民地からの労働者として歴史的に見下され、しかし、社会では生きていかなければならないが、イギリスの社会そのものには文化的には入り込めず、彼ら自身も自分達のアイデンティティーを守るが如く、自国の文化に固執するのである。この部分は以前に見たハリウッド映画の「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」と同様であるが、アメリカは自分たち自身で築いてきた国、新興国なので、まだ異文化が混ざり合ってとても独特の文化を作り上げている。イギリスは自分達自身の長い歴史がある為に、中々、それを共有するどころかそこを牙城として自分達のアイデンティティーを守ろうとしているのである。そこの所が大きく違う。
その中で、異国で移民としてやってきた人達の第二世代はその国で暮らさなければならない為否が応でも馴染んでいかなければならない。そんな葛藤の中で起きる話なのである。
また、複雑に絡んだ宗教問題や独自の自治システムなどにも翻弄されている事がこの映画を通して伺える。
イスラム教徒のカシムとカトリック教徒でアイルランド人のロシーンの愛の物語。
ストーリーの最後は見る人にどの様に解釈されても良い様な作りになっている。
イスラム教徒のカシムはグラスゴーに住む学生。とても大切にしている妹はグラスゴーの中でも優秀な学校の生徒。所がここは公立であってもカトリックを大切にしている学校なのだ。
パキスタン人のこの妹はしょっちゅう虐めにあったりしているが彼女自身は自分の持ち前のヴァイタリティーで頑張っている。
そんな中でこの家族はいまだに厳粛に自国の習慣を守っている。考え方の上で。父親は家長でありその決定は絶対。妹のタハラが希望している進路を認めず、父親の決定が優先される。カシムも同様。彼には父親が定めた婚約者が居る。しかも会った事も、ろくに相手の名前すら知らない。しかし、流れに従って生きている。今日はタハラを迎えに学校に来た。そこで彼女の学校の音楽教師ロシーンと知り合う。2人ともあった瞬間から愛を感じた様だ。
ロシーンはアイルランド人でカトリック教徒。しかも、以前に結婚歴があるが今は、別居し、完璧に社会的には離婚状態。所がカトリックでは離婚は認めない。そのため、ロシーンの仕事のキャリアに影がさす。離婚の事だけではなく、異教徒のパキスタン人と付き合うと言う事に関してだ。

この映画は、元々イギリスに根ざしていた階級社会と言うものだけでなく、人々の生活、種族による住み分けというか、区別、差別というかそこに起因している。
この映画を見て、時々イギリスの大きな産業都市を訪れた時の事を思い出し、そこにすむ人々の事を深く考えてしまった。
posted by diane at 00:59| Comment(1) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
どうもはじめまして、RINと申します。m(_ _)m
TBさせていただきました。
この映画が追及している問題は、イギリスに
限ったことではないと思います。日本では
こういう問題はあまり表立って出てこないけど、
それが、逆に怖い部分でもあると思います。
Posted by RIN at 2005年08月21日 10:56
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