2005年08月31日

レイクサイドマーダーケース

この映画を見た時になにか底知れない怖さを感じました。それは、最初から最後まで。特に、最後のシーン。殺された人の顔が出るんですけれどあれが一番怖い。
それにしても人間てここまで恐ろしくなれるものなんですね。親は子供の為に何でもやると言っているけれど、本当に子供の為ならばそこで殺人事件が起きようが、
不誠実な事が起きようが、その不誠実さを正す為に子供に教えるのではなく、自分たち自身がそれをやってしまう。それも子供の為。子供は親の鏡。つまり、子供は
親を常に見ている。子供の為と言ってやっている行為はつまりは自分達の親の為でもある。
この話のきっかけは「お受験」。受験戦争真っ盛りの日本では、「お受験」は一大事。いかに有名な学校に入るか、いかに物凄い学校を出るか、今の日本の受験はそうである。
幼稚園から「お受験」は始まる。当然、大学、大学院もそうだ。今は不景気で仕事を得るのにも資格があった方が良い。そうするとまた、別な意味の「お受験」があるのだ。
この「お受験」はある意味、日本の一つの産業を編み出し、それは今や、かなり大きなものへと進化している。普通の外国の方、一般人には理解できないらしい。しかし、
アメリカやフランスにだって「お受験」は存在する。特に名門の私立の学校に行こうとすれば。韓国等では、日本以上に「お受験」が盛んだし、中国の様な国では
幼い時から才能の有る子の発掘に国自ら、力を入れている。
日本の場合は、どうだろうか? 雑誌か何かに載っていたが、日本の場合は「確かにどこの大学を卒業したかはどこの国でも重要だが、日本の場合は少し違う。就職する時でも
何でも、人を判断する時に何を大学でどう勉強したかでなく、某大学の某学部の某学科を出たという事が大切なのだ。本人の才能、向き不向きや業績は関係ない。」と述べていた。
この映画の最大の背景は「お受験」の為に親たちが有名な塾講師を雇い、合宿をし、「お受験」に勝てば、社会の勝利者の道が開けると信じ、子供たちを「お受験」に向かわせる
という事だ。しかも、この講師もまた「お受験」戦争に巻き込まれた中で育ってきた。何か「お受験」と言う物に現代社会のひずみを感じる。

原作はベストセラー作家・東野圭吾の本格的ミステリーホラー小説「レイクサイド」。これは発売後たちまちベストセラーになったそうだ。
映画化するにあたってかなり、変更している部分があるらしいが、おそらく原作も、この映画以上の新感覚のミステリーなんだろうな。本当に怖い。とても綺麗な湖の別荘を舞台に
展開する緊張しっぱなしの謎。それもなかなか解けない。サスペンスというか何かはっきりではないがこの映画の結末を見て、謎がある程度解明された時には背筋に怖い物が
走った。現代社会がこうならば…ならば未来は? 誰もが心の奥底で秘密を持っている。それは暴かれたくない。暴かれるべきではない。ならばどうするか?
背筋が凍る。
出演者は主人公の役所広司。その妻には薬師丸ひろ子。そして、同じく、この合宿に参加している夫婦、鶴見辰吾とその妻に杉田かおる(この二人はその昔「金八先生」でとてもセンセーション
を巻き起こしたカップル)。そして、なかなか器用であっさり演じながらそのあっさりとした演技が怖い柄本 明とその妻の黒田福美。役所の愛人役で登場の眞野裕子。また、最近、
エリート塾講師役には色々な役柄に精力的に取り組む豊川悦司。彼はこの映画の中である意味キーパーソンでもある。とても怪しい雰囲気をこの作品に加えている。
中学受験を控えた子供の「お受験」合宿に向かう主人公並木俊介(役所広司)は忙しいアートディレクター。妻の美奈子(薬師丸ひろ子)とは、今、別居中。娘の舞華は美奈子の連れ子。
そうだとしても、今、別居中と言う事が知られれば、親子面接の際、舞華には不利になる。無理しても仲の良い夫婦を演じなければならない。映画を見ればわかるが実はこの舞華。
良い子では有るが実はかなり恐ろしい子である事がわかる。湖畔の別荘にこの夫婦と子を含め、3組の親子が集まる。しかもこの別荘の提供者は藤間智晴(柄本 明)の持ち物。
そこにエリート塾講師津久見(豊川悦司)。並木は、舞華の事は考えているとは言うもののどうも考えているようには思えない美奈子。そして、「お受験」を少々、馬鹿にしてかかっている?
のは服装や態度で何となくわかる。
そんな時、並木の元に仕事絡みの女性(眞野裕子)が訪ねてくる。実はこれは並木の愛人だがどうやら津久見とも面識があるらしい。彼女は帰ろうとしたが津久見と話している内に近くの
ホテルに滞在する事にした。そんな時、その並木の愛人が殺された。自分が殺したと言う美奈子。警察を呼ぼうと言う並木。スキャンダルを恐れる親たち。どうやら色々と矛盾点があるらしい。
スキャンダルを恐れる親たちは結託して湖にその死体を沈める事にした。そして、事件を無い物にしようとする。
この親達の葛藤、動き、発言や言動は面白く興味深いがよくよく考えるととても怖い物がある。恐ろしい。人間とは本質的に恐ろしい存在なのだという事が改めて認識させられた。
posted by diane at 21:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。